Project2:兵庫県地域別GRP

兵庫県内の地域別GRP(支出側)の2020年度の動向と2021年度/2022年度の見込

2021/09/17

1.令和2年度(2020年度)の兵庫県経済を振り返ると、主に新型コロナの影響から、GRP(実質値)は、前年度に比べ大幅なマイナスとなった。個人消費が、外出自粛、雇用機会の喪失に伴い低迷するなど、期初から厳しい状態となった。企業部門も、前年度から計画されていた設備投資の動きが残ったものの、製造業を主体に減益が続いた。外需に関してもコロナウイルスパンデミックを背景に、輸出が停滞し、海外との行き来が制限されるなか、インバウンド需要がほぼゼロとなった。年度前半における緊急事態宣言の解除以後は、家計や企業の活動がみえたものの、第2波、第3波の到来と、先行き不透明な状態が続き、回復ペースは再び鈍化した。このためGRP(実質値)の推移は、前年度比が3年連続のマイナスで、2020年度は下げ幅を広げた。

2.令和3年度(2021年度)の兵庫県経済は、企業部門では、外需に持ち直しがみられ、設備投資は堅調に推移している。設備投資は、目先の不急なものは抑制されているが、中長期的な成長に向けた研究開発投資やソフトウェア投資は根強い。他方、個人消費は、ワクチン普及が順次進んでいるものの、緊急事態宣言に伴う感染防止策など下押し圧力が継続し、低調に推移している。雇用環境、所得環境も厳しい状況にある。これらを背景に生産活動は全体的には、回復の動きとなっているが、個人消費に関連した地場産業では厳しい状態が続いている。2021年度GRP(実質値)は、大きなマイナスとなった2020年度に比べ持ち直し、4年ぶりに前年度比プラスに転じる。もっとも、GRPの額では、2019年度に近い水準にとどまる見通しである。

3.令和4年度(2022年度)の兵庫県経済は、輸出や設備投資の堅調さなど企業部門の動きに支えられ回復の動きが維持されよう。個人消費は、感染再拡大を防ぐため、経済活動の制限が残るなか、ワクチン普及などを反映し、動きが出てこようが、安定した動きを取り戻すのは、なお一定の時間を要すると見込まれる。2022年度GRP(実質値)は、前年度に続きプラスが続くと見込まれる。

資料データ

地域別経済動向指標―2021年9月推計―

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