1.2018年度の兵庫県経済を振り返ると、米中経済摩擦の影響から後半に外需が減速したものの、人手不足を背景とした省力化投資、設備の老朽化に伴う更新需要やなど投資も活発で、企業部門を中心とした成長の動きが続いた。家計部門においても、所得環境の改善などから、個人消費は緩やかな増加ペースを維持した。
こうした動きから、2018年度(平成30年度)を通じてのGRP(実質値)は、前年度に比べプラスを維持した。もっとも、プラス幅は2017年度(平成29年度)よりも縮小した。
2.2019年度の兵庫県経済は、中国経済減速の影響など外需に弱い動きがある一方、内需は底堅く推移している。年度前半の動きでは、個人消費が10連休となったGW時の寄与や、前例に比べ小幅であったものの消費増税前の駆け込み需要もあって堅調に推移した。企業部門は、人手不足への対応などで域内における設備投資の増加基調が持続した。年度後半になると、外需の低下に下げ止まりがみられ、鉱工業生産も回復の動きが出てきている。内需では、消費増税前の駆け込み需要が小幅であった分、その反動減も限定的であり、非製造業の堅調が続くと予想される。2019年度を通じてのGRP(実質値)は、大きな内外の需要減退要因が発生しない限り、前年度に比べプラスが続くと見込まれる。
3.2020年度(令和2年度)の兵庫県経済は、個人消費が増税に伴うマイナス影響が薄れるなか、人手不足を背景とした底堅い所得環境に支えられ、緩やかな増加が続くと見込まれる。年度中ごろは、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う、インバウンド需要が兵庫県経済にも及んでこよう。また、企業の設備投資は、働き方改革を背景とした省力化投資や、新技術の活用のための研究開発投資などの需要が引き続き見込まれる。全体的にも緩やかながら、増加基調が維持すると予想される。