1.令和2年度(2020年度)の兵庫県経済を振り返ると、新型コロナの影響により、期初から厳しい状態となった。個人消費は、外出自粛などから低迷した。また、雇用機会の喪失をもたらした。企業部門も、前年度から計画されていた設備投資の動きが残ったものの、製造業を主体に減益が続いた。外需に関してもコロナウイルスパンデミックを背景に、輸出が停滞し、海外との行き来が制限されるなか、インバウンド需要がほぼゼロとなった。年度前半における緊急事態宣言の解除以後は、2020年5月頃が景気の谷となるなど、家計や企業の活動がみえたものの、第2波、第3波の到来から回復ペースは鈍いものにとどまった。このため2020年度のGRP(実質値)の前年度比も、大幅なマイナスとなり、2年連続のマイナスとなった。
2.令和3年度(2021年度)の兵庫県経済は、新型コロナの変異株に関する感染防止策などから、雇用環境、所得環境が厳しい状況にあることを反映し、個人消費も、一進一退の動きで低調な推移となっている。一方、企業部門では、デジタル化への対応など設備投資は堅調に推移している。もっとも、原油など一次産品価格の上昇圧力や部品調達の不安定性など、先行き不透明感が増している。また、個人消費に関連した地場産業では厳しい状態が続いている。2021年度GRP(実質値)は、大きなマイナスとなった2020年度からの持ち直しもあり、3年ぶりに前年度比プラスに転じると見込まれる。
3.令和4年度(2022年度)の兵庫県経済は、個人消費は、新型コロナの変異株の動向など、依然として先行き不透明感が残るものの、正常化への動きが増えていこう。また、企業部門では、設備投資意欲は根強く、2022年度GRP(実質値)は、前年度に続きプラスを維持しよう。もっとも、不安定な国際情勢を背景とした原油や食料品の価格変動が経済活動に及ぼす影響が懸念される。